『食べる』編①(半年間の絶食状態)

嚥下造影検査(2016/8~10)

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2016年8月から、食べるリハビリが思うようにできない毎日を過ごしていました。 食べるリハビリと言っても、アイス綿棒で口の中を刺激して水分の飲み込みを促したり、口を開けたり閉じたり、口の周りの筋肉をほぐしたり、と言った内容で何かを食べる訓練はほとんどできませんでした。
やはり、嚥下機能(食べ物を飲み込む力)がどの程度の状態かを評価してからでないと、実際に食べ物を使ったリハビリはできないようでした。

この状況に対して、家族から早く食べる訓練をしたいと訴えた結果、言語聴覚士さんから嚥下造影検査の予定を入れようと思います、との話を聞きました。嚥下造影検査って何?と思い素人なりに調べたところ、『バリウムなどの造影剤を含んだ食べ物をX線で撮影した状態で食べて、正しく飲み込めるかを評価すること』とわかり、それなら早くやってみましょうと思いました。

2016年10月6日に嚥下造影検査を実施し、結果としてはとろみのついた水分とお粥なら問題なし、との結論が出たので、翌日から実際にとろみの付いたお茶やお粥を食べるリハビリが始まりました。
後から知ったのですが、もしこの嚥下造影検査でNGとなってしまったら、その後は口から食べることはできなくなってしまう程の影響力のある検査だとわかりました。妻はそれまでに実際に食べ物を食べる訓練をほとんどしたこともない状態で、ぶっつけで検査を受けていて、OKが出たからよかったものの、そこでNGが出てしまったらその後は食べるリハビリはできない(=食べられない人である)と判断されていたんだ、と言うことを知りぞっとしました。

嚥下機能の検査をして安全に食べられることがわかってからリハビリをするのか、食べるリハビリをして嚥下機能の訓練を先にするのかは、鶏が先が卵が先かの話になりますが、現実は前者なんだと理解しました。
病院としては誤嚥によって死亡などしてしまったら問題なので、そりゃぁ慎重になりますよね。でも家族としては食べる訓練を1日も早くやりたい。立場によって重要視する観点が違うので、その折り合いをつけるのが重要なんだと感じました。
それはそれで理解はするものの、やっぱり何の訓練もしない状態で食べられる/食べられないの判断をしてしまうのって、家族としては納得感がありません。病院や制度の観点からは正しいのかもしれない。訓練すれば食べられるようになるかもしれないけど、その時点の状況によりそれ以後の可能性を摘み取ってしまうことがあるかもしれない。家族の観点からはやはり納得ができません。病院は危険を避ける方向を選択するので、本気で訓練したければ家族が自身で責任を持ってリハビリに取り組むほかに選択肢はないのだ、と理解しました。

何はともあれ、その後は1日40分の言語療法の時間で、お粥を食べる訓練をできるようになりました。

 

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