2017年5月6日、両家の父母が集まった家族会議で、妻を自宅で介護する方向で準備を進めたいと宣言しました。父親たちは私の思う通りにやればよいという反応でしたが、母親たちは心のどこかで在宅介護は無理なんじゃないかという思いがあったようです。家族皆で同じ方向を向くことはできていませんが、私は在宅介護が妻の回復には一番と確信していたので、それに向けた準備を進めながら、どうやったら母親たちの理解を得られるかを考えました。
とはいえ、考えて思いつくものでもなく。
悶々と時間が過ぎたある日、子供たちを病院に連れて行ったときに義母の考えを変える出来事がありました。
普段、病室に子供を連れていくと、子供たちはテレビを見たり妻のリハビリ用のおもちゃや病室の備品で遊んだりしていて、子供達から妻に何かアクションすると、それに対して妻が反応する、というのがいつもの様子でした。
ところがこの日は、ベッドの周りで子供たちが走り回っていると、ベッドに寝ていた妻が自主的に頭と上半身を動かして子供を見ようとし、走り回る子供を触ろうと左腕をぐーっと伸ばしていました。
それを見た私は、「リハビリの時間でも妻がこんなに自分から体を動かそうとすることはないのに、子供たちがいると自然と体が動くんですね。これ以上のリハビリはないですよ。やっぱり子供たちと毎日一緒に過ごすことが妻の回復には必要です。」と義母に話しかけました。
義母も、これまでの入院期間は自分と娘で二人三脚でリハビリに努めてきて、これからもそうしたいと思っていたところ、娘と子供の触れ合う様子を見て、「この子は私の娘であると同時に、子供たちの母なんだ」ということを再認識されたようです。
この出来事から、義母は在宅で子供たちと一緒に過ごすことに理解をして協力してくれるようになりました。
義母の理解は得られました。一方で私の母も、私が自分で言いだしたことは決して曲げないことを知っているので、その後はミキサー食を自宅で作るべく協力をしてくれました。
こうして家族の協力を得て、ようやく在宅介護プロジェクトは具体的に進み始めました。
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