食べる訓練を開始して5週間が経過した2017年1月12日、嚥下内視鏡検査を行いました。
嚥下内視鏡検査とは、鼻からのどに内視鏡を入れ、食物の飲み込み(嚥下)の様子を観察する検査で、唾液や痰の残留の有無、食物を飲み込んだ後ののど内の食物の残留の有無や気管へ流入(誤嚥:ごえん)の有無などを評価することができます。また、嚥下に影響を与えることのある声帯の動きも評価することができます。
この検査の結果をふまえて、今後の食事形態や食事時の姿勢の調節、嚥下訓練の方針が決定されます。
さて、実際の検査では、ゼリー、おかゆ、おかず、ペースト状の食物を食べてみて、すべて誤嚥なく喉に残ることもなく食べることができました。食べ物がのどに行ってから飲み込む動作が発生するまでに時間がかかりますが、『飲み込む』機能については障害はないという結論でした。
この結果を受けて『誤嚥の心配は無い』というお墨付きをもらったため、その後も食べる訓練を進められるようになりました。よかった!
この時点の妻の状態としては、麻痺のせいか舌で食べ物を喉の奥に送り込むという動作が難しい点と、これも麻痺のせいか口をしっかり閉じて空気が入らないようにする動作が唇の右側で難しい場合がある点に課題がある状態でした。その後の食事介助では、スプーンで食べ物をできるだけ口の奥の飲み込みやすい部分まで運ぶ、飲み込むときに口を閉じて空気が漏れないように介助者の指で口を塞ぐことを意識して、対応するようにしました。
検査から数日後の1月17日、妻の誕生日でした。
病院に入院中でしかも平日なので、私や子供たちは会いに行くことが出来ませんでした。
普通の1日が終わろうとしてした夕食の時間に、栄養室の方がサプライズでケーキを持ってきてくれました。イチゴ味で妻が食べやすいババロア状のケーキです。おそらく特別に作っていただいたものと思います。
これまで入院中の妻にずっと付き添ってきて病院の生活に慣れてしまった義母にとっても、嬉しく、ありがたい出来事でした。
妻は美味しそうに食べて完食したそうです。やっぱりデザートは別腹ですね。
でも、食べたい!と思うことが本人のやる気を刺激して、障害を抱えて難しい部分があってもそれを自分自身で乗り越えるように食べようとする。その姿勢を引き出すことが回復につながる事なんだと実感した瞬間でした。
本当に栄養課の方には感謝です。
さすが、病院で食事を作るプロですね。
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