『食べる』編②(口から食べる訓練)

ミキサー食とムース食(2017/1)

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入院当初の食事は、主にゼリーやペースト状の食物(ミキサー食)でした。
入院から6週間経過して食べるスピードもアップしてきたところで、より難易度の高い食物を食べる練習をするために、ムース食にステップアップすることになりました。

ミキサー食とムース食の違いは以下の通りです
【ミキサー食】
食事をミキサーにかけてペースト状にしたもので、噛む力、飲み込む力のどちらも弱くなっている人向けの食事です。飲み込むのが容易な反面、形状や風味が落ちて食欲がわかないことや、ミキサーにかける際に水を加えるので量が増えるなどの問題があります。

【ムース食】
食事を細かくしてとろみ剤などで固めた食事で、ミキサー食と同様に噛む力、飲み込む力のどちらも弱くなっている人向けですが、ミキサー食のような流動食にする必要のない人向けの食事です。味や彩りがよいので食欲がわきやすく、とろみがあるので誤嚥しにくいという特徴があります。

ムース食の例
左上から:お粥ゼリー、ムース状のおかず2品
左下から:スープ、お茶ゼリー

食物のレベルとしてはドロドロの流動食からレベルアップしたわけですが、当然ながら食べる難易度も上がります。
最初はムース食のカツカレーに挑戦しました。
カレーの部分はこれまで通り飲み込むことはできましたが、カツの部分は舌で潰すことができずに口の中に残ってしまい、飲み込むことも吐き出すこともできずにそれ以降は口が開かなくなる、という結果でした。その場合でも、お茶ゼリーを口に含むと何とか飲み込むことができたり、それもできない時もあったり。元気な人にとっては何でもない少しの変化ではありますが、食べる力が弱い人にとっては食べ物の形態が少し変わっただけで、難易度がぐっと上がるんだと言うことを知りました。それまでは30分~45分程度だった食事時間も、60分かけても完食するのが難しくなりました。

ムース食を2日間食べてみた結果、看護師さんから食事だけで1時間かかるのはちょっと長いからミキサー食に戻しましょうかと提案を受けました。そしてミキサー食に戻したところ30分程度で完食することができました。それを見た看護師さんは、やっぱりリハビリのためには難易度の高いムース食にチャレンジすることを決断され、それ以降はムース食で訓練することになりました。

毎食訓練をしていると、介助をしている義母もコツをつかんできました。
口が開かなくて止まってしまう時は、たいてい口の中に食べ物が残っているので、スプーンで口に入れたものはすぐに飲み込めるように食べ物の大きさやスプーンを入れる位置に注意してやれば、止まる頻度は減っていくことや、口の周りの筋肉が緊張しているために口が開かない場合もあるので、その時は、口の左端に指を入れてやると緊張がほどけて口が自然に開くこと等を学び、妻の食事を介助するスキルはぐんぐん上がっていきました。
2週に1回程度しか食事介助をできなかった私とのスキルの差は開く一方で少々悔しかったですが、でもこの時までに義母が食事介助の方法を身につけたおかげで、後に転院して病院のスタッフや食事内容等の環境が変わった時でも継続して経口摂取を続けることができたわけです。

やはり、家族のサポートがあったからこそ食べる力を取り戻すことができたのだと思います。

 

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